2013年5月28日火曜日

子ども達の学力。


まぁまぁ暑いです。あっという間に、夏が近づいてきました。以前にもこちらに書きましたが、私は夏よりも冬の方が好きなため、あまり夏が待ち遠しくはありません・・・。家にはクーラーがないですし。愛犬と遊ぶのも暑苦しくなりますし。



さて今回は、私が率直に感じている現在の子ども達(小学生~中学生)の、学力についての話をします。この “子ども達” とは、陽学舎に通っている生徒だけに限った話ではなく、今現在の子ども世代、全体に通じる話です。


私が先日のゴールデンウィーク中に会った友人の内の一人は、今は小学校で先生をしています。私は塾講師、彼は小学校の教師、共に教育に携わる者として、この “今の子ども達” 論は、そこで非常に盛り上がった話題でした。そして、私と彼の、お互いの意見、お互いが普段から感じている “今の子ども達の現状” は、だいたいが共通しておりました。よって、私が捉える現代の子ども達像は、おそらくはさほどズレのないものかと思いますので(たった二人の意見が一致しただけですが)、それを今回書き記そうと思います。



巷では “最近の子ども達は学力が低下している” とよく耳にしますが、まずはっきり言いたいのは、“それは捉え方による” ということです。

皆さんは、PISA (学習到達度調査) というものをご存じでしょうか? こちらは世界中の子ども達 (15歳) を対象に3年に一度開催され、国ごとの学力を調査するためのペーパーテストでして、その結果はもちろん公表され、要はこれによって “世界のどの国の子ども達が、頭がいいのか” が、はっきりとわかります。


そのPISAの調査結果の、日本の順位の推移は、

           2000年    20003年    2006年 

総合読解力:  世界 8位  →   14位  →  15位 
数学的思考力:     1位  →    6位  →  10位
科学的思考力:     2位  →    2位  →   6位

とあり、明らかに低下している・・・と、データを見る限りはそう感じるかもしれません。しかし実はこの調査、参加国自体がどんどん増え続けており (2000年:32ヵ国、2006年:57ヵ国)、そもそも日本より学力レベルの高かった国が、2000年には参加していなかった、という一面もあるのです。まぁ、それにしたって数学的思考力などは、1位だったものがたった6年で10位となってしまったわけで、2006年に日本より上位だった国のすべてが新規参入国なわけではありませんし、学力が低下している、というのはある程度は客観的な事実なのでしょう。しかし、2009年には

           2000年(32ヵ国中)  2009年(65ヵ国中

総合読解力:  世界   8位     →      8位
数学的思考力:       1位     →      9位
科学的思考力:       2位     →      5位

とだいぶ持ち直しており、総合読解力にいたっては32ヵ国中の8位が、65ヵ国中の8位になったわけですから、むしろ向上しているとさえ言えます。


・・・と、私はまるで学者のように、データを元に子供たちの学力分析をしたいわけではありません。むしろこんな調査などは机上の空論、私は全く信用しておらず、「数字上のデータなんて、どうでもいい!」 とすら思っています。仮に順位が上がっていたとしても、世界全体の学力が落ちていた場合には、それは学力の向上とは言えませんしね。


よって、私はあくまで直接、子ども達と接した上での、自分の経験と感覚をふまえた分析をします。私が見る限り、今の子ども達は、少なくとも “インプット(入力)” の力は、皆、悪くないものを持っています。教科書の内容をよく理解し、必要な知識を身に付けることは、けっこうみんな、よくできているのです。しかし逆に、“アウトプット(出力)” の力は、はっきり言いまして、かなり物足りないと感じます。


極端な例えで簡単に説明すると、「2+3= 」 という問題は誰でもすぐに解けますが、「答えが5になる文章問題を一つ作りなさい」 という問題になると、ほとんどの生徒はしばらく手が止まります。同様に、理科のテストなどで 「どういう結果になるのか説明しなさい」「なぜこの作業をする必要があるのか説明しなさい」 といった問題が出ると、多くの生徒の解答欄は、白紙のままです。

私は授業では理解度の確認のため、私が説明をした後には、生徒から私への同じことの説明をリクエストすることがよくあります。国語の授業では、設問以外にも文章を読んで何を感じたかなどを、生徒に尋ねることがよくあります。そうした中で感じるのは、“理解はできているのだが、その内容を伝えることができない” “文章は捉えられているのだが、その要旨や感想などの表現がうまくできない” という生徒が、非常に多いということです。

私が前出の友人と特に話したのは、「最近の子ども達は、読書感想文の力がかなり落ちている」 というものでした。厳しい表現になりますが、今の中学3年生が書いている感想文の多くは、私が子供の頃ならば、小学生が書いていたような内容のものばかりです。


友達とのメールや、TVゲームからは、アウトプット力はほとんど身に付きません。インターネットなどでせっかく手に入れた情報も、“知っている” だけで満足してしまっては、アウトプット力はなかなか育ちません。


“何かを考えて、誰かに伝える” ことが重要なのです。

陽学舎の生徒のみんなは、自分が観たテレビ番組や漫画などの、感想を語り合ったりしていますか? 良い本を読み、良い映画を観て、その感動を人に伝えたりはしていますか?


誰かから教わる+自分で考える=本当の勉強、です。考える癖と力がつけば、自分の考えを人に伝えたくなるのは、自然な流れです。社会人になって求められるのは、“自分で考えて、新しい何かを生み出すことのできる能力” ですよ。上司の指示内容を理解し、指示通りに完璧に仕事をこなしたとしても、「そんなものできて当たり前だ」 と思われるだけで、それでおしまいです。


みんな苦手・・・ということは、逆に言うとそれを磨くことができれば、そこにチャンスが転がってくるわけです。

子ども達諸君! もっともっとたくさん、いろんなことを考えて、それをどんどん吐き出そうぜ!!



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