2015年1月24日土曜日

平和を祈る。


日本が、大変なことになっています。・・と書いてもいまいちピンと来ない人もいるかもしれませんが。イスラム国の件です。


日本人二人がイスラム国に拘束され、身代金2億ドルを要求されましたが、支払い期限の72時間はとうに過ぎました。今のところ二人の安否は不明ですが、少なくとも死亡との情報がまだ出ていないことは、ギリギリの救いです。


僕は、2008〜9年の世界一周の際に、中東にも一ヵ月ほど滞在しています。今回の件でわかるように、シリアはもはや入国できないほどの危険地帯になってしまいましたが、僕が尋ねた6年前の時点では、とても素晴らしい国だったのです。親日的な国民性で、みな優しく、フレンドリーで、たいへん居心地が良かったのです。

特に、今はイスラム国が制圧したと言われている北部の都市アレッポは、僕は当時、たくさんの友達ができましたし、よい思い出しかないような場所なのです。だから自分は特別だというわけではありませんが、他の方と比べれば、今回の件で心を揺さぶられているレベルは、かなり高いと思われます。


シリアでは、多くの現地人から、米英とイスラエルに対しての怒りを、受け取りました。過去も、現在も、こんなに酷い目にあっていると、必死に訴えられました。普段はとても親切で温厚な彼らが、米英とイスラエルに対してだけは、憎悪の塊と化すのです。僕は、なるべく中立的な目線で彼らの思いを受け取ろうと努めましたが、しかしやはりどうしても、米英イスラエルに対しての怒りの種は、確実に植えられました。

帰国後に、改めて中東関係の本をたくさん読みましたし、他にもアメリカ(主に)がこの100年間、世界中でどんなことをして来たのか、いろいろと勉強しました。そして、日本のメディア報道は、確実にアメリカ寄りのイメージを国民に植え付けている、という事実に気付きました。


皆さんは、サダム・フセインの名を聞けば、どうイメージしますか?
逆に、アウン・サン・スー・チーの名を聞けば、どうですか?


多くの方は、端的に言えば、「サダム→悪」「スー・チー→善」をイメージすることでしょう。僕もそれは、否定はしません。僕が言いたいのは「間違えていますよ」ではないです。「それはあくまで、アメリカ側の視点ですよ」です。

ヨルダン人の友人は、「サダムは、英雄だ」とはっきり言っていました。理由を聞くと、「パレスチナの解放に尽力した」等、いろいろ教えてくれました。1990年にイラクがクウェートに攻め入った湾岸戦争、僕は当時小学生で、報道を見てシンプルに「イラクって悪い国なんだな」と思いましたが、あの戦争だって、単なる侵略戦争ではないのです。ちゃんと勉強すれば、わかります。戦争を仕掛けたのはイラクですが、仕掛けるように仕向けたのは、米英です。 日本だって大戦前にABCD包囲網とかありましたよね。あれと似たような構図です。

逆に、「スー・チー女史が必ずしも善とは言い切れない」は、これまた説明が長くなりますので、割愛します。興味のある方は、ご自身で調べて下さい。


というわけで、日本で当たり前のように設定されている「イスラム国=テロリスト集団」も、僕はあくまでアメリカ側の視点だ、と捉えているのです。といいますか、冷戦後のアメリカは、自国に都合の悪い存在をとにかく「テロリスト」と名付けます。そして、「テロリスト=悪」「悪を倒すことは正義」となり、お得意の正義(自国)vs悪(都合の悪い存在)の構図をでっち上げるのです。「テロリスト」という言葉ほど、使い勝手のいい洗脳ワードはありません。


もう、このフェイク、いい加減にしませんか? いつまで騙され続けますか?



僕は決して、イスラム国を肯定はしていません。「テロリスト」の括りにしていないだけです。彼らはあくまで、戦争をしていると考えるのです。正義 vs 悪では、ありません。

欧米諸国から利用と搾取をされ続けた、長い歴史に終止符を打とうとしているのです。それは、彼らなりの正義です。やっていることは、テロリストと呼ばれても仕方のないことが多く、僕も許せないのですが。「爆弾を抱えて突撃する」に「悪」をイメージしてしまう人には、「空爆で街ごと破壊する」にも、怒りを覚えてほしい。邪魔な相手を勝手に「テロリスト」呼ばわりし、それを正義面しながら駆逐しようとする連中にも、怒りを覚えてほしい。


日本は、歴史的にも、今現在も、中東問題にはほとんど関わっていません。ムスリムの方々の憎悪の対象は主に米英とイスラエルであって、そこに日本は含まれていません。

しかし今回、日本の安倍首相は、よりにもよってイスラエルでアメリカの共和党議員たちと握手し、「テロと戦う」と宣言し、支援を約束した。首相の後ろには、日本国旗とイスラエル国旗が並んでいた。

最悪です!!本当に最悪!!! 完全に一線を越えましたよ。日本は、関係のなかった戦争に自ら首を突っ込み、「片方の味方をする」という宣言をしたわけです。戦争への参加を表明したのと、同じことです。「あくまで人道支援だ」とかのたまわっても、支援金を何に使うのかは自由ですし、なんなら空爆のミサイルに使われます。あのイスラエルでの会見で、多くの中東の人々は傷つき、日本に失望しています。イスラム国が日本を、十字軍の一員、すなわち “敵国” だとはっきり明言したことは、僕からすれば「そりゃそうなるわ!!」なのです。



日本には、憲法第9条があります。日本は、戦争をしない国、なのです。平和を追い求める国、なのです。僕はこれには、大きな誇りを持っています。僕は日本という国を、愛しています。右か左かと問われれば、確実に右です。それはひとえに、日本人が「平和を愛する」国民だからです。

メディア報道を鵜呑みにして、「相手はテロリスト(悪)」だと一方通行で決めつけているから、「首相は間違えていない」と錯覚するのでしょう。これは正義 vs 悪なのではなく、実は戦争なんだと気付き、首相がそれにわざわざ参加表明をしたと捉えれば、みなさんはどう思いますか? 憲法第9条に、反していると思いませんか?

今後、首相が「テロリストを倒すために」等のもっともらしい大義名分をつけ、集団的自衛権の名の下に、平和主義を放棄する可能性があります。もしそうなれば、僕は日本政府に、確実に失望します。そんな最悪な連中を選挙で選んでしまう、日本人にも、大きく失望します。


とにかく、イスラム国に拘束されている二人には、無事でいてほしい。今回は「自己責任」をはるかに超える、「政治のミス」です。日本政府は責任を持って、二人を救出してほしい。


いつか世界に、真の平和がおとずれますように!!


シリアのアレッポにて(2008年)




0 件のコメント:

コメントを投稿